疾患の解説
猫の特発性肺線維症(犬・猫の呼吸器勉強会での症例発表)
研究班報告(FDLD班)
座長:城下幸仁(犬・猫の呼吸器科)
猫の特発性肺線維症に関する文献レビュー -それは果たしてIPFなのか- (45分)
近藤絵里子(品川WAFどうぶつ病院)
発表の要旨
猫の特発性肺線維症をキーワードとして検索し、今回10文献が調査対象となりレビューを行った。その結果、いまだコンセンサスの得られた見解は見出せず、さらに人のIPFの定義に照らすと、猫では臨床像が一致しなかった。これは猫のIPF様疾患が、病理像に重点をおいて定義づけされたためと思われる。近年、獣医学においてIPFという語の適用は再検討されており、今回、その点について考察した。ヒト医学では、特発性肺線維症を含む間質性肺疾患の体系は、臨床、病理、画像の情報を長年積み上げてきた結果で成り立っている。猫の間質性肺疾患についても、臨床、病理、画像情報をバランスよく蓄積したうえで分類や特徴付けが必要で、そうすればより合理的に猫の病態を把握でき、適切な治療法を見出すことができるかもしれない。