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犬猫の免疫療法

免疫のしくみ

どうぶつの体は、発生したがん細胞を
免疫によって排除しています

体内で「自分の体の細胞」ではないものを「異物(いぶつ)」と呼びます。細菌やウイルスなどは「異物」の代表例ですが、体には異物の侵入を防いだり、侵入してきた異物を排除したりして体を守る抵抗力が備わっています。この仕組みを「免疫(めんえき)」といいます。

「免疫」で中心的な役割を果たすのは、血液の中にある免疫細胞の1つである白血球です。白血球と、白血球に異物の情報を伝える役割をする樹状細胞(じゅじょうさいぼう)を総称し、免疫細胞と呼びます。免疫はいつも同じ状態ではなく、異物を排除するために強まったり、強まりすぎたときには弱まったりしています。

免疫療法について

  • 免疫療法とは?

    通常、体内で発生しているがん細胞を免疫により異物として判別し排除しています。しかし、免疫が弱まった状態であったり、がん細胞が免疫から逃れる術を身につけて免疫にブレーキをかけることで免疫が弱まったりすることにより、がん細胞を異物として排除しきれないことがあります。

    免疫療法とは、免疫本来の力を回復させ、体内の免疫を強めることにより、がん細胞を排除する治療法です。

  • 従来のがん治療

    がん治療には、外科手術・化学療法・放射線療法の3大療法がこれまで主流を占めてきました。しかし残念ながら、これらの3大治療には、さまざまな副作用が存在します。症状やがんの種類によっては、その副作用に見合ったがんの治療効果が得られない可能性もあります。

  • がん治療に対する第4の療法

    どうぶつ自身がもともと持っている免疫力を上げることができれば、恐ろしいがんをより良く治療することができます。しかも、それが自分の体から取り出したリンパ球を使った治療であれば、限りなく副作用を少なくし、安全でどうぶつに優しい治療が可能となります。

    免疫療法は、がん治療特有の苦痛を伴わない普通の生活を送れるようなQOL (Quality of Life)の改善を高める治療法として、今注目を集めています。

免疫療法の4つの特徴

  1. 1 食欲不振や嘔吐などの副作用が
    ほとんどない

  2. 2 がんを大きくしない、といった
    延命効果が期待できる

  3. 3 痛みなどの自覚症状の改善が図れる

  4. 4 抗がん剤などの療法の
    相乗効果が期待できる

当院で提供している
2つの免疫細胞療法

  • 以下2つの療法は、がんなどの腫瘍に対する治療だけでなく、腎不全や免疫疾患(ドライアイ、炎症性腸疾患、多発性関節炎など)といった幅広い疾患に応用が期待されている治療法です。当院では免疫細胞療法の専門設備を持ち、さまざまな免疫細胞治療に対応が可能です。

  • 1.活性化リンパ球(CAT)療法

    わんちゃん、ねこちゃんの血液(10-12ml)からリンパ球を回収し、薬剤を加えてリンパ球の活性化・増殖を行ないます。 2週間後、およそ1,000倍に増えたリンパ球を洗浄・回収し、点滴で体内に戻します。

  • 2.樹状細胞ー活性化リンパ球(DC-CAT)療法

    わんちゃん、ねこちゃんの血液(10-15ml)とすりつぶしたがん細胞(腫瘍組織)を、樹状細胞と一緒に培養します。樹状細胞はリンパ球にがんを特異的に攻撃させるための目印を持つ細胞です。この樹状細胞と活性化して1,000倍に増やしたリンパ球を投与することで、がん細胞に対してより特異的に攻撃させる治療です。

免疫療法の種類

  • 免疫療法には、特異的免疫療法と非特異的免疫療法というものがあります。

    • 特異的免疫療法

      正常細胞に影響なく、がんにターゲットを絞って攻撃をする免疫療法を「特異的免疫療法」といいます。がんを狙い撃ちすることで、攻撃力の高い免疫反応が期待できます。

    • 非特異的免疫療法

      ターゲットを絞らずに体全体の免疫をたかめる免疫療法を「非特異的免疫療法」といいます。攻撃力は高くありませんが、免疫力を全体的に高めることが出来ます。身体への負担が少なく副作用も少ない治療法です。

当院の免疫療法メニュー

  • 1.活性化リンパ球(CAT)療法

    活性化リンパ球療法(CAT)は、「非特異的免疫療法」の一種です。犬猫の血液からリンパ球を分離し、体外で大量に増やし活性化してから、ふたたび体に戻しがんを治療しようとするものです。

  • 治療スケジュール

    1回の治療スケジュールは以下の通りです。

    1. Step01治療相談

      病状や治療経過などについて詳しくお聞きします。
      免疫療法についてのご説明をさせていただきます。

    2. Step02診察・検査

      一般状態の確認と血液検査、レントゲン検査、超音波検査などを実施させていただきます。

    3. Step03採血

      無菌状態を保つため、採血部分の毛刈りおよび消毒をさせていただきます。
      採血する量は12mlほどです。
      午前中にお連れ頂き、お預かりしての処置になります。お迎えは夕方以降になります。

    4. Step04培養

      採血した血液からリンパ球を回収し、薬剤を加えてリンパ球の活性化させ、2週間増殖します。

    5. Step05点滴注入

      2週間後、およそ1,000倍に増えたリンパ球を洗浄・回収し、点滴で体内に戻します。
      1時間ほどかけて、ゆっくりと点滴していきます。
      2週間おきの治療の場合では、次回分の採決を行います。
      午前中にお連れ頂き、お預かりしての処置になります。お迎えは夕方以降になります。

  • 料金

    一回あたり
    66,000円

    ※当院で初めての受診の場合は、初診料1,500円が別途かかります。

  • 2.樹状細胞ー活性化リンパ球(DC-CAT)療法

    樹状細胞ー活性化リンパ球(DC-CAT)療法は、樹状細胞療法(DC療法)と活性化リンパ球療法(CAT療法)の利点を合わせた療法です。療法を投与できますので、がんへの攻撃力をより高めることができます。

  • 樹状細胞療法(DC療法)

    樹状細胞療法(DC療法)は、「特異的免疫療法」の一種です。

    樹状細胞は、体の免疫細胞の中で「司令官」の役割をする細胞です。がんの一部を取り込み、敵の情報を「兵隊」の役割をする免疫細胞に教えて攻撃させる役割を担っています。樹状細胞療法は免疫細胞にがんを認識させやすくすることで、がんにターゲットを絞って攻撃を加えることが期待されています。

    1回の治療スケジュールは、基本的にはCAT療法のスケジュールと一緒になります。治療相談、診察・検査、採血、樹状細胞を培養、2週間後に増やした樹状細胞を注入します。

  • 料金

    一回あたり
    88,000円
    ※樹状細胞療法(DC療法)+活性化リンパ球療法(CAT療法)

    ※当院で初めての受診の場合は、初診料1,500円が別途かかります。

免疫療法に関する
よくある質問

Q

活性化リンパ球(CAT)療法は、薬を使いますか?

A

T細胞を増やすために培養はしますが、薬は使いません。

Q

効果はどのくらいあるのですか?

A

ヒトの医療では明確な効果が報告されており、東大病院でも治療に使われています。少数ですが、がんが小さくなった、がんの進行が遅くなったといった報告がされています。まだ犬猫では大規模な臨床試験のデータが出ていませんが、獣医再生医療研究会でまとめたデータでも“がんで低下した生活の質(QOL)を改善する”といった効果が報告されています。
QOLとは、自分でご飯が食べられる、好きなお散歩ができる、家族と遊べるといった“当たり前のことが当たり前のようにできる生活”のことです。

Q

いつからでも始められるのですか?手術後でも大丈夫ですか?

A

いつからでも始められます。もちろん手術後でも大丈夫です。ただ、なるべく状態が悪くなりきる前に行う方が、より高い効果が得られます。
その理由は、CAT療法が採取したTリンパ球数が少なければ、増える量も少なく、期待した効果が出るまでに時間がかかってしまう可能性があるからです。

Q

副作用はありますか?

A

今のところ、免疫療法での重篤な副作用の報告はありません。自分の体内から取り出したT細胞が数を増やして戻ってくることを考えると、他の治療法よりも副作用が少ないということがいえます。
ただ、免疫を刺激してしまうことで熱を出すことがあります。これは、風邪をひいて発熱するのと同じ理由からです。

Q

リンパ球を増やすのに2週間もかかるの?もっと早くできないのですか?

A

Tリンパ球を増やすのがCAT療法ですが、そのTリンパ球が最も数を増やし、一番元気がいいのが2週間といわれています。大切な免疫細胞ですので、できる限り数も元気も万全の状態にしたいと考えると、2週間がベストと考えられます。

Q

増やしたリンパ球を保存しておいて使うことはできますか?

A

Tリンパ球は、培養3週間頃より明らかに数も元気も減ってきます。また、その状態で体内に注入しても、すぐに死んでしまいます。
免疫を上げるためには、元気なTリンパ球が数多く必要ですので、当院では免疫細胞が一番元気な状態での注入を行っております。そのため、保存使用は行っておりません。

Q

いつまで続けるのですか?

A

今のところ、何回やったらやめてもいい、というはっきりとしたデータはありません。ただ、免疫が弱っているからがんになったのではないか、ということを考えると、続けて行くことが高い効果を生み出します。全身の状態を見ながらになるとは思いますが、スケジュールは獣医師と相談していきましょう。
免疫療法であるCAT療法は、手術後の補助療法として非常に有効です。がんの再発や転移を予防し、他の治療の邪魔にならないという特徴からも続けていただきたい治療なのです。

Q

途中でやめても、また始められますか?

A

いったん中止したとしても、再度CAT療法を開始することは可能です。
ただ、前回から期間が空いている場合、全身状態の確認のため検査を実施させていただく場合があります。

Q

サプリメントを飲ませているのですが大丈夫ですか?

A

問題ありません。免疫療法であるCAT療法の特徴の一つに、“他の治療を邪魔しない”ということがあります。食事などに関しても制限はありません。

Q

既に抗がん剤の治療をしているのですが、免疫療法は一緒にできるのでしょうか?

A

まさにCAT療法の真骨頂と言えます。抗がん剤治療に影響を与えることなく、しかも抗がん剤の副作用を軽減できると考えられています。

Q

すぐに免疫療法をしてもらえますか?

A

免疫療法は、完全予約制になります。
全身チェックなどの検査が終わり、CAT療法が可能であることが分かった時点で準備に入ります。

Q

免疫療法以外のがん治療はできないのですか?

A

当院では、外科治療、抗がん剤治療も行っております。
がんの種類や全身状態によって、各治療を選択していただけます。負担の少ない免疫療法が、その選択肢に入っているとお考えください。

Q

ヒトのがん治療でLAK療法というのを聞きました。それはCAT療法とどう違うのですか?

A

免疫療法は、大きく分けて“攻撃の対象を特定した特異的ガン免疫療法”と“自然に獲得した免疫細胞を使う非特異的ガン免疫療法”の2つがあります。
非特異的ガン免疫療法に分類されるのが、LAK療法とCAT療法になります。これらは、培養して増やす細胞の種類が異なります。
異常な細胞を直接攻撃するNK(ナチュラルキラー)細胞を増やして免疫を高めるのがLAK療法であり、他の免疫細胞に攻撃命令を出す司令塔の役割をするヘルパーTリンパ球を増やすことで免疫を高めるのがCAT療法です。

Q

うちの子は、手術を受けてガンを取ってもらいました。
それでも免疫療法をやる意味はあるのでしょうか?

A

免疫療法の一つ、CAT療法は手術後の補助療法として非常に有効です。
手術後はどうしても体力が落ち、免疫力も低下します。その回復に、がんの再発や転移に対しての予防のために、有効性が期待される治療です。手術と併用する治療として、安全性も高く有意性はあるといえます。