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疾患の解説

猫が毛玉を吐く頻度はどれくらい?「猫は吐くもの」で済ませてはいけないケースを獣医師が解説

猫と暮らしていると、「また毛玉を吐いた」「猫は吐く動物だから大丈夫かな」と感じることがあるかもしれません。

実際に猫は毛づくろいをする習性があり、飲み込んだ毛を吐き戻すことがあります。しかし、「毛玉を吐いているだけ」と思っていたら、実は胃腸の病気や全身疾患が隠れていたというケースも少なくありません。

今回は、猫が毛玉を吐く頻度の目安や、受診を検討すべき危険なサインについて解説します。

猫はなぜ毛玉を吐くの?

猫は1日の多くの時間を毛づくろいに費やします。

ザラザラした舌で被毛を舐める際、多くの毛を飲み込みます。飲み込まれた毛の大部分は便と一緒に排出されますが、一部は胃の中に残り、毛玉となって吐き出されることがあります。

特に以下のような猫では毛玉ができやすくなります。

  • 長毛種
  • 換毛期(春・秋)
  • 毛づくろいが好きな猫
  • 多頭飼育でお互いを舐め合う猫
  • ストレスで過剰に毛づくろいをする猫

そのため、毛玉を吐くこと自体は必ずしも異常ではありません。

毛玉を吐く頻度の目安

健康な猫でも毛玉を吐くことはあります。

健康な猫でも、たまに毛玉を吐くことはあります。

たとえば、

・数週間から数か月に1回程度

・換毛期に時々吐く

・吐いた後は元気で食欲も普段通り

という場合は、生理的な範囲でみられることもあります。

しかし、

  • 週1回以上吐く
  • 月に何度も吐く
  • 毛玉ではなく液体ばかり吐く

場合は注意が必要です。

実際の診察でも、「毛玉を吐いていると思っていたら、実は毛玉はほとんど出ておらず胃液だけだった」というケースは少なくありません。

毛玉なのか嘔吐なのかを見分けよう

飼い主様が「毛玉を吐いた」と思っていても、実際には胃液や未消化のフードを吐いていることがあります。

毛玉を含む嘔吐

特徴は、

  • 円筒状や細長い毛の塊が出る
  • 吐いた後は元気
  • 食欲も普段通り

というものです。

病気による嘔吐

特徴は、

  • 毛玉がほとんど出ていない
  • 黄色い液体を吐く
  • 白い泡を吐く
  • フードをそのまま吐く
  • 吐く回数が増えている

などです。

特に「毛玉を吐いたと思ったら毛は少ししか入っていない」という場合は、実際には嘔吐が主症状かもしれません。

「猫は吐くもの」と言われるけれど…

昔から「猫は犬より吐く動物」と言われます。

確かに犬より嘔吐がみられやすい動物ですが、「だから頻繁に吐いても大丈夫」という意味ではありません。

月に複数回の嘔吐が続く場合や、以前より吐く頻度が増えている場合は、何らかの異常のサインである可能性があります。特に

・体重減少

・食欲低下

・下痢

・多飲多尿

などを伴う場合や中高齢の猫では注意が必要です。

頻繁な嘔吐の原因になる病気

慢性腸症(慢性腸炎)

猫の慢性的な嘔吐の原因として重要な病気です。

腸に慢性的な炎症が起こり、

  • 嘔吐
  • 軟便
  • 下痢
  • 食欲低下

などがみられます。

初期は「たまに吐くだけ」のことも珍しくありません。

消化器型リンパ腫

特に中高齢の猫で注意が必要な腫瘍です。

慢性腸症と症状が似ており、

・嘔吐

・体重減少

・食欲低下

・下痢

などがみられます。

慢性腸症との区別が難しいことがあり、診断には血液検査、画像検査、内視鏡検査、病理検査などを組み合わせて判断することがあります。

胃腸の異物

紐、おもちゃ、ビニールなどを飲み込んだ場合、嘔吐の原因になります。猫では特に紐状異物が問題になることがあります。

また、まれに毛玉が大きくなり、胃や腸の通過障害につながることもあります。

甲状腺機能亢進症

高齢猫で多い病気です。

特徴として、

  • よく食べるのに体重が減る
  • 落ち着きがない
  • 嘔吐が増える
  • 水をよく飲む
  • 下痢をする

などがあります。

慢性腎臓病

猫で非常に多い病気です。

腎機能が低下すると、

  • 吐き気
  • 食欲低下
  • 体重減少
  • 水をよく飲む
  • 尿が増える

がみられることがあります。

「毛玉を吐いているだけだと思っていたら腎臓病だった」ということもあります。

こんな症状があれば早めに受診を

以下のような症状がある場合は受診をおすすめします。

  • 週に1回以上吐く
  • 吐く頻度が増えている
  • 毛玉ではなく液体を吐く
  • 食欲が落ちている
  • 体重が減っている
  • 元気がない
  • 下痢がある
  • 水をよく飲むようになった
  • 吐こうとしているのに何も出ない

特に体重減少を伴う嘔吐は重要なサインです。

猫は体調不良を隠すのが得意なため、「吐く以外は元気そう」に見えることもあります。

毛玉対策としてできること

ブラッシング

最も基本的な対策です。

飲み込む毛の量を減らせるため、毛玉形成の予防につながります。

特に換毛期や長毛種では毎日のブラッシングがおすすめです。

毛玉ケア用フード

毛玉ケア用フードは、食物繊維などにより、飲み込んだ毛を便として排出しやすくする設計になっているものがあります。

ただし、「毛玉ケアフードを使えば必ず治る」というものではありません。嘔吐の頻度、体重、食欲、便の状態を見ながら判断することが大切です。

適度な運動

運動不足は消化管運動の低下につながることがあります。

遊びの時間を確保し、適度な運動を促しましょう。

ストレス管理

ストレスによる過剰な毛づくろいで毛玉が増えることがあります。

環境の変化や多頭飼育でのストレスがないか確認してみましょう。

品川WAFどうぶつ病院からお伝えしたいこと

診察をしていると、

「昔からよく吐く子だから」
「猫は吐くものだと思っていた」

という理由で様子を見ていた結果、慢性腸症やリンパ腫、腎臓病などが見つかることがあります。

もちろん、すべての嘔吐が病気というわけではありません。しかし、吐く頻度が増えている場合や、以前より吐き方が変わった場合は、一度検査を受ける価値があります。

特に猫は不調を隠す動物です。「吐くこと」だけが病気のサインであるケースも珍しくありません。

まとめ

猫が毛玉を吐くこと自体は自然な行動です。

しかし、

  • 週に1回以上吐く
  • 月に複数回吐く状態が続く
  • 毛玉ではなく液体や泡を吐く
  • 体重が減っている
  • 食欲や元気に変化がある

といった場合は、「猫は吐くもの」で済ませずに原因を調べることが大切です。

毛玉なのか病気による嘔吐なのかを見極めるのは、ご家庭だけでは難しいこともあります。

「うちの子は吐く回数が多いかもしれない」
「最近吐く頻度が増えてきた」

そのような場合は、お気軽にご相談ください。早期発見・早期治療につながる可能性があります。