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疾患の解説

猫の異物誤飲は何時間で症状が出る?受診の目安と危険サイン

「さっき紐を飲み込んだかもしれない…」
「今は元気だけど、様子を見て大丈夫?」
「何時間以内に病院へ行くべき?」

猫は遊びの延長で、紐・糸・ヘアゴム・おもちゃなどを飲み込んでしまうことがあります。

そして問題なのは、“すぐに症状が出るとは限らない”という点です。

この記事では、猫が異物を飲み込んだ場合、症状はいつ出るのか、何時間以内に受診すべきか、危険なサインは何かを分かりやすく解説します。

正しい判断基準を知ることで、迷ったときの行動が明確になります。

猫の異物誤飲で多いもの

・紐

・手芸用品(針付きの糸)

・リボン

・ヘアゴム

・輪ゴム

・おもちゃ

・ビニール

・ウレタンマット

などです。

特に紐状のものは注意が必要です。

消化管の中で絡まりやすく、重症化することがあります。

症状は何時間で出る?

数時間で出る場合もあれば、数日後に出る場合もあります。
場合によっては数週間、数か月経ってから以内にある異物が腸へ移動し症状が出ることもあります。
異物の種類や大きさ、形状によって変わります。

▼ 早いケース

・嘔吐
・よだれ
・落ち着きがない
・食欲不振

食道や胃の中に留まっている場合、比較的早く症状が出ることが多いです。

▼ 遅れて出るケース

・繰り返す嘔吐
・ぐったりする
・お腹を触ると嫌がる
・排便がない
・食欲がない

腸まで移動し、消化管閉塞を起こすと症状が強くなります。

紐状異物(線状異物)が特に危険な理由

特に紐や糸などの異物は「線状異物」と呼ばれ、猫の誤飲の中でも特に危険とされています。

猫では、糸の端が

・舌の裏

・胃

・幽門

などに引っかかることがあります。

その状態で腸が動くと、糸が固定されたまま腸が進もうとするため、腸が手繰り寄せられるように縮んでしまいます。

これを「アコーディオン状変形」と呼びます。

この状態になると

・腸閉塞

・腸の裂傷

・腸穿孔

・腹膜炎

などの重篤な状態になる可能性があり、緊急手術により胃や腸を複数箇所切開する必要が出てくることもよくあります。

そのため、紐や糸を誤飲した可能性がある場合は特に早い対応が重要です。

何時間以内に受診すべき?

以下の条件で判断します。

◎ 飲み込んだ瞬間を見た場合

できるだけ早く、数時間以内に受診をおすすめします。

理由は、

・胃の中にあるうちなら誤飲物の形状により吐かせる処置を実施できる可能性がある

・内視鏡で摘出できる可能性がある

からです。

時間が経つと吐かせたり内視鏡で摘出できるような物でも腸に移動し、外科手術が必要となる可能性が高くなります。

◎ 飲み込んだか不明な場合

心配な場合はまず動物病院にご相談ください。

異物の材質によっては画像検査で誤飲の有無を確認できることがあります。

なお、誤食の可能性が低くても、以下の症状が出たらすぐに受診してください。

・繰り返す嘔吐

・ぐったりしている

・腹部を痛がる

・糸が口や肛門から出ている

特に、口から糸が出ている場合は腸を傷つける可能性があるため、絶対に引っ張らないでください。

「様子を見る」は危険?

小型のものであれば、自然に排出されることもあります。

しかし、

・紐状

・鋭利なもの

・一定のサイズがあるもの(ゴム製品やウレタンマット、布、その他おもちゃなど)

の誤飲は消化管閉塞や消化管穿孔のリスクがあります。

また食べ物であったとしてもうまく消化できないものや、大きすぎるものは閉塞の原因になり得ます。

迷った場合は「様子を見る」より「相談する」方が安全です。

実際にあった症例

実際に当院でも、針付きの糸を誤飲してしまった猫の症例がありました。

ある日の午後、

 「猫が縫い針と糸で遊んでいて、慌てて取り上げようとしたら飲み込んでしまったかもしれない」

 というご連絡がありました。

誤飲した可能性があったのは

・縫い針(約3cm)

・木綿の糸(約25cm)

飼い主さまがすぐにキャリーに入れて来院してくださいました。

レントゲン検査を行ったところ、胃の中に針と糸と思われる影が確認されました。

※写真右側にある縦の白い線が縫い針の影

針のような鋭利な異物では、吐かせる処置は危険なため、内視鏡での除去を行いました。

内視鏡の鉗子で針の尖った側を慎重に把持し、糸と一緒に無事回収することができました。

※実際に取り出された針と糸

処置後の内視鏡検査では、

・胃粘膜の軽い炎症

 ・舌の小さな裂傷

が見られましたが、消化管の穿孔は認められませんでした。

翌日には体温も落ち着き、食欲も回復したため退院。

その後の再診でも体調は安定しており、現在も元気に過ごしています。

もしこのまま様子を見ていた場合、

・針による消化管穿孔

・糸による腸閉塞

・細菌性腹膜炎

などの重篤な状態になっていた可能性もありました。

内視鏡で取れるケースと手術になるケース

異物誤飲では、発見されたタイミングによって治療方法が変わります。

▼ 内視鏡で除去できるケース

・異物が胃の中にある

・形状が把持できる

・誤飲から時間が経っていない

この場合は、お腹を切らずに取り出せる可能性があります。

▼ 手術が必要になるケース

・腸まで移動している

・腸閉塞を起こしている

・腸穿孔の疑いがある

この場合は開腹手術が必要になります。

そのため、早期発見が治療の負担を大きく左右します。

検査は何をするの?

誤飲が疑われた場合、一般的には

・レントゲン検査

・超音波検査

・血液検査

などの検査を実施します。

すべての異物が画像検査で写るわけではありませんが、これらの検査を組み合わせて実施することで状況を評価します。

手術になるケース

発見が遅くなると消化管閉塞や消化管穿孔が疑われた場合は基本的に開腹手術が第一選択となります。

時間が経つほど、腸のダメージが進行するため、緊急手術の対応となります。

まとめ

異物の誤飲をしても運よく排泄され事なきを得ることはあります。

しかし、様子を見ることにより症状が重篤化し、場合によっては手遅れになってしまうこともあります。

そのため異物誤飲が疑われる場合は、”今は元気だから大丈夫”と判断する前に一度動物病院へご相談ください。