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疾患の解説

不妊手術は「抜糸なし」が主流?溶ける糸のメリットと病院ストレスを減らす工夫

「不妊手術のあと、抜糸でまた通院しないといけないの?」
「うちの子は病院が苦手だから、できるだけ負担を減らしたい…」

猫の不妊手術を検討される中で、こうした不安を感じる飼い主様はとても多いです。

近年では、抜糸の必要がない「溶ける糸(吸収糸)」を使用した手術方法が広く行われるようになってきました。

今回は、品川WAFどうぶつ病院の獣医師が、
猫の不妊手術における「抜糸なし」の仕組みとメリット、そして病院嫌いな猫ちゃんへの配慮についてわかりやすく解説します。

猫の不妊手術とは?

不妊手術とは、卵巣や子宮を摘出することで発情や妊娠を防ぐ手術です。

主な目的は以下の通りです。

・望まない妊娠を防ぐ

・乳腺腫瘍の発生リスクを下げる

・卵巣・子宮の病気(子宮蓄膿症など)を予防する

・発情に伴うストレスや行動の変化を軽減する

猫にとって、将来的な病気予防の意味でも非常に重要な手術とされています。

「抜糸なし」の手術とは?

従来の手術では、皮膚を縫合した後、術後10日前後で抜糸のために再来院が必要でした。

一方で体内で自然に分解される「吸収糸(溶ける糸)」を使用する方法も選択できます。

この方法では、皮膚の表面に糸が出ないように縫合(皮内縫合)するため、基本的に抜糸が不要となります。

抜糸のために再来院することができない野良猫ちゃんたちに昔から用いられていた方法でもあります。

溶ける糸(吸収糸)のメリット

① 再診(抜糸)の通院が不要

最大のメリットは、抜糸のための通院が必要ないことです。

猫は環境の変化に敏感な動物であり、

キャリーに入る・移動する・病院に行く

これらすべてが大きなストレスになることがあります。

通院回数を減らすことは、猫ちゃんにとって大きな負担軽減につながります。

② 傷口を気にしにくい

表面に糸が出ないため、

・糸を引っ張る

・気にして舐める

といった行動が起こりにくくなります。

結果として、術後トラブルのリスク軽減にもつながります。

③傷跡が残りにくい

全身が毛に覆われる犬猫にとっては大きな問題になりませんが、表面に出る糸の組織反応がないため傷跡が目立ちません。

ただし、

・手術部位

・傷の大きさ

・皮膚の厚さ

によってベストな方法は違いますので一概に皮内縫合が優れているとは言えません。

④飼い主様の管理がシンプル

抜糸のタイミングを気にする必要がなく、

術後のスケジュール管理がシンプルになります。

お仕事などで忙しい方にとっても大きなメリットです。

デメリットや注意点はある?

吸収糸は非常に優れた方法ですが、いくつか知っておいていただきたいポイントもあります。

① まれに体外に糸が出てくることがある

体内で吸収される過程で、糸の一部が皮膚から出てくることがあります。

多くの場合は吸収されて自然に取れますが、気になる場合はご相談ください。

②糸への組織反応で炎症が起こることがある

糸への過剰な組織反応を起こす特異体質の子は抜糸が必要な方法が向いていることもあります。特異体質かどうかを事前に知ることはできませんので、この場合は事後対策となります。

③完全に通院が不要になるわけではない

抜糸は不要ですが、

・傷口の状態確認

・体調チェック

のために、術後の経過観察は重要です。できれば1週間程度は1日1回傷のチェックをしていただき、異常を感じる場合はご相談ください。
その他、「普段と違う行動や様子がある」「元気がない」などあれば、無理せずご来院ください。

病院嫌いな猫ちゃんへの配慮

当院では、「猫ちゃんのストレスをいかに減らすか」をとても大切にしています。

避妊手術においても、以下のような配慮を行っています。

通院回数を最小限に

吸収糸を使用することで、

👉 抜糸のための再来院を不要にする

これは、病院が苦手な猫ちゃんにとって大きなメリットです。

LINE活用した遠隔での術後サポート

ご自宅での様子の見方や注意点を丁寧にお伝えし、

ご自宅で安心して経過を見ていただけるようサポートしています。

判断に迷う場合は動画や写真をお送りください。

より的確なアドバイスをすることができます。

無理のない通院提案

すべてを「必ず来院してください」とするのではなく、

猫ちゃんの性格やご家庭の状況に合わせて、現実的な通院プランをご提案しています

よくあるご質問

エリザベスカラーは必要ですか?

基本必要ないと考えております。

抜糸の不要な縫合法、皮内縫合で不妊手術を実施した患者さんでトラブルを経験したことはほぼありません。

まれに執拗に傷をなめて真っ赤になっているなどの異常に気付いた場合は装着をお願いするかもしれません。

術後服はどうでしょう?

良い方法です。

ただし、不妊手術を受けるのは健康で若い元気な動物です。

特に猫は

・服に慣れず、身動きできなくなる

・服の襟ぐりに下あごの犬歯をひっかけてしまう

・服を気にして舐めて布地の糸を引っ張り出して食べてしまう

などのトラブルを経験することもありますので注意が必要です。

手術後はどのくらいで元気になりますか?

多くの猫ちゃんは、術後2~3日以内で普段に近い様子に戻ることが多いです。

ただし、

・食欲がない

・元気がない

・傷口が腫れている

などが見られる場合は、早めにご相談ください。

オス猫の場合は?

オス猫の不妊手術(=去勢手術)の傷口は1cm程度で小さく、テンションのかからない部位なので基本、縫合が必要ありません。

不安に思われる方もいらっしゃると思いますが、野良猫ちゃんたちの喧嘩傷よりずっと小さいことを想像すると納得していただけるのではないでしょうか?

犬も溶ける糸を使いますか?

はい、使います。

当院ではメス犬の不妊手術は基本抜糸の必要のない方法で実施することが多いです。

ただしオス犬の不妊手術に関しては抜糸の必要な方法を選択することが多いです。理由は、オス犬はいずれの方法を選択したとしても傷口をなめるケースが多いためです。

カラーやウェアによる保護は必須ですので、一定期間我慢してもらい、抜糸をして体内に糸を残さないことを重要視しています。

品川WAFどうぶつ病院としての考え方

当院では、避妊手術において

👉 「安全性」

👉 「術後の負担軽減」

👉 「猫ちゃんのストレスへの配慮」

この3つを大切にしています。

抜糸の必要のない方法はその一環であり、

「できるだけ通院負担を減らし、安心して手術を受けていただく」ための取り組みです。

まとめ

猫の避妊手術における「抜糸なし(溶ける糸)」には、以下のメリットがあります。

抜糸のための通院が不要

猫のストレス軽減につながる

傷口トラブルのリスクが減る

特に、病院が苦手な猫ちゃんにとっては大きなメリットとなります。

「できるだけ負担を少なく手術を受けさせたい」

「うちの子に合った方法を知りたい」

そのような場合は、お気軽にご相談ください。

品川WAFどうぶつ病院では、

猫ちゃんとご家族にとって無理のない選択肢を一緒に考えていきます。