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疾患の解説

犬の歯周病と治し方|全身麻酔下での歯石取りについて

歯周病は我々ヒトだけではなく、犬でも身近な歯科疾患です。というのも、3歳以上の犬の80%以上が歯周病に罹患しているといわれています。

また、歯の見た目が綺麗でも実は歯周病が進行しており、気付かぬ間に顎が腐り溶けて下顎骨折していたなんてことは、高齢犬でよくある話です。

麻酔前検査・料金

麻酔前検査とは

手術時に麻酔薬を使用しても問題がない状態かを事前に評価するため、麻酔前検査を行います。リスクを減らし、安全な手術を行うためにも、麻酔前検査は欠かせません。

検査項目

  • 血液検査(血球計算)
  • 静脈血液ガス測定
  • レントゲン検査:心臓や肺、お腹の中の腸や胃などに異常がないかを評価し、結果を後日レポートでお渡しします。
  • 心電図検査:不整脈などの異常がないかを評価します。心電図検査の結果を後日レポートでお渡しします。
  • 血圧測定:高血圧や低血圧が見られないかを事前に評価する事で、当日の麻酔リスクを評価します。

料金

麻酔前血液検査(血球計算・16項目) 会員価格5,665円(税込) 非会員価格7,865円(税込)
静脈血液ガス測定 3,300円(税込)
麻酔前循環器検査(レントゲン検査・心電図・血圧測定) 12,650円(税込)
麻酔料金 44,000円(税込)
※体重加算分(小数点第一位四捨五入し5kg毎)+5,500円(税込み)
麻酔医 技術料 44,000円(税込)

麻酔料の内訳

  • 留置針による血管確保:注射薬と点滴を静脈内に投与するために行います。
  • 静脈点滴:水分と電解質を補給するために行います。
  • 麻酔前投与処置:心身のストレスを軽減するため、または、麻酔導入を円滑にするために行います。
  • プロポフォール導入麻酔、もしくはアルファキサン導入麻酔:即効性の高い鎮静薬を用いて、円滑な麻酔導入を行います。アレルギーの有無によって麻酔薬の種類を選択します。
  • 術中モニタリング:バイタルサイン(呼吸数・心拍数・血圧・体温・血中酸素飽和度)をチェックすることで、適切な全身管理を行います。
  • 人工呼吸器による呼吸補助:麻酔薬によって低下した肺機能の補助を行います。
  • 吸入麻酔:麻酔を維持したり、麻酔深度を適切に調節するために行います。

※追加で使用する可能性のある麻酔薬

  • フェンタニル、ケタミン、モルヒネ:麻薬性鎮痛薬です。強力な鎮痛を行うために使用します。
  • ドパミンを使用した点滴:循環作動薬です。血液循環不全を改善するために使用します。
  • ドブタミンを使用した点滴:循環作動薬です。心不全に伴う血液循環不全を改善するために使用します。
  • フェンタニルパッチ:麻薬性鎮痛薬です。術後鎮痛のために使用します。毛を刈って皮膚に貼り付けて使用し、効果は3日間持続します。
  • ※持病があり麻酔をかけることが心配な場合や、術前の検査から麻酔リスクが高い手術の場合、専門医による麻酔管理を行います。

以下の症状が1つでも当てはまる場合は要注意!  

  • 最近愛犬の口臭がくさい
  • 歯肉が前より赤く浮腫んでいる気がする
  • ヨダレが多量に出る
  • 歯が茶・黒色に変色している
  • くしゃみや鼻水が出る
  • 目の下あたりが急に腫れてきた

歯周病は口腔内の炎症を引き起こすだけではなく、

鼻炎・根尖周囲膿瘍・口腔鼻腔瘻腎臓病・心臓病・肝臓病などといった

様々な疾患を引き起こすことがあり、早期発見・治療が重要なのです。

歯周病(歯肉炎・歯周炎)とは

歯周病には歯肉炎歯周炎などといった病態が存在します。

まず、歯と歯茎の隙間に食べ物のカスから発生した歯周病菌の塊である歯垢(プラーク)が付着し、その歯垢にカルシウムやリンといった成分が結合すると3日程度で歯石と呼ばれる石のような物体へと変化します。

そして歯垢や歯石に付着した歯周病菌が増殖する事によって歯肉が炎症を引き起こし、歯肉が赤みを帯びたり出血を起こします、これを歯肉炎といいます。

歯垢は歯磨きで落とすことができますが、歯石は歯磨きで落とす事はできないため、全身麻酔下でスケーラーと呼ばれる機械を使用して歯石除去する必要があります。歯肉炎であった場合、全身麻酔下での歯石除去を行うことで完治可能ですが、放っておくと歯周炎に進行してしまいます。

歯周炎は、歯肉炎が進行し、歯周組織(歯槽骨・歯根膜)まで炎症が広がってしまった状態の病態をさします。この状態になると、歯石除去を行ったとしても歯周組織は元に戻る事はありません。歯周炎になると、歯周ポケットと呼ばれるポケットが形成され、炎症がひどくなるにつれて歯の根元に向かってポケットは深くなっていきます。

歯周炎が重度になり、歯周ポケットが深くなっていくと顎や鼻までに炎症が広がり、歯槽骨を溶かすなどといった様々な重篤な症状を引き起こします。
例えば、歯が抜けたり、鼻炎・顎骨の骨折・根尖膿瘍・口腔鼻腔瘻などといった疾患が起こります。

Point1

ですので、歯周炎になる前の完治可能な歯肉炎の段階で徹底的に歯科専門治療を行う必要があるのです!

歯周病の症状

歯周病になると以下のような症状が認められます。

  • 歯肉が赤い・浮腫んでいる
  • 歯肉から出血する
  • 強い口臭がある
  • 食欲不振
  • 食べることが難しい
  • よくヨダレが出る
  • 顎をガクガクさせる
  • 歯が動揺する、抜ける

はじめは歯肉が赤くなり、口臭が以前のものよりもキツくなってしまいます。その後、歯周病が進行してひどくなっていくと、歯周病菌によって歯の根元が腐って歯が抜けるだけでなく、鼻炎・根尖膿瘍・口腔鼻腔瘻・下顎骨折を引き起こします。

また、顎の血管を通して歯周病菌が全身へ循環してしまうと、心臓病・腎臓病・肝臓病・関節炎などといった様々な病気を引き起こしかねませんので、注意が必要です。

歯周病の治療

歯周病の治療は全身麻酔下でのスケーリングによる歯石除去や歯周ポケットの洗浄です。

歯周病が軽度で歯肉炎のみを引き起こしている場合には、超音波スケーラーによる歯石の除去と歯周ポケット内の洗浄 → 歯の表面を研磨するという流れで処置を行います。

歯周病がある程度進行して歯周炎を引き起こしている場合には、ルートプレーニングという歯の根元を綺麗にする処置も行うことがあります。また歯の根本が腐ってしまい、歯がぐらぐらしている場合には抜歯を行います。

高齢犬で歯周炎を引き起こし、歯がボロボロになっている場合は、数本〜最大20本程度抜歯する事はよくある話です。1本でも多く歯を残してあげたいという気持ちはもちろんありますが、愛犬達の健康を損なうような悪い歯はしっかりと抜歯する事は重要です。そのような悪い歯を抜歯しなかった事で心臓病や腎臓病になってしまい、命を落とすこともあるのです。

そしてこれらの専門的な処置は無麻酔下で行う事はできませんので注意が必要です。

Point!

麻酔下での歯石除去は1〜2時間程度で終わり、日帰りで行うことができる非常に安全な処置です。全身麻酔下をかける前に、しっかりとした術前検査(血液検査・歯科レントゲン検査など)を行い、麻酔をかけることができるか確認します。

無麻酔下での歯石除去について

無麻酔下の歯石除去は非常に危険です、というのも無麻酔では目で見えるところだけしか綺麗にできず、隠れている歯垢や歯石は除去する事はできないのです。例えば、歯周ポケットの洗浄に関しては無麻酔下で行うことは不可能です。つまり無麻酔下での歯石除去では歯周病を治療する事はできないのです

また、無麻酔下での歯石除去のせいで、口の中を触られることを嫌がったり、歯磨きができなくなったり、愛犬のトラウマになる事がほとんどです。

特に高齢犬では無麻酔下での歯石除去は大きなストレスや身体的な負担がかかりますので、術前検査をしっかり行った後に全身麻酔下での歯石除去を行うことをオススメします。リスクのない麻酔はこの世に存在しませんが、麻酔リスクを最小限にし、愛犬に負担のかけない処置を行う事は可能です。そのためには厳密な術前検査・麻酔管理を獣医師が丁寧に行う必要があります。

無麻酔下での歯石除去はあくまで歯の表面の歯石を除去することしかできず、見た目が綺麗になるだけで、1番綺麗にしなければならない歯周ポケットを洗浄する事はできません。無麻酔歯石除去をトリミングなどでやっているから大丈夫と安心してはならず、見た目は綺麗な歯かもしれませんが、歯周病がどんどん進行していることがほとんどですので、注意してください。

愛犬の歯石や歯肉の腫れ・赤みが気になった場合は?

愛犬の歯の異常に気づいた場合は、なるべく早めに動物病院を受診しましょう。明らかな症状はまだ出ていないかもしれませんが、愛犬はすでに口の中の違和感痛みを感じているかもしれません。

麻酔が怖くてなかなか治療に踏み切れない….という飼い主様もいらっしゃると思いますが、

当院では術前検査・麻酔管理を厳密に実施、様々な高度医療設備を設置し、麻酔リスクを最小限にできるよう万全の体制を整えております。もし愛犬の歯についてお悩みがございましたら、お気軽に当院までお問い合わせくだい。

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