以下のような症状があれば、心臓病外来を受診されることをオススメします。

✔️なかなか治らない咳がでる

✔️開口呼吸をする(口呼吸)

✔️安静時の呼吸数が1分間に30回を越える

✔️最近少し元気がなく、性格が変わった気がする

 

 

 肥大型心筋症とは?

肥大型心筋症は、猫で最もよく診断される心臓病です。肥大型心筋症により、心筋が異常に厚くなり、正常に心臓が機能しなくなると、心不全を引き起こす可能性があります。早期に発見することができれば、肥大型心筋症は投薬を行うことでコントロールできます。しかしほとんどの場合、肥大型心筋症が進行し、全身に悪影響を与えるまで症状が出ません。具体的には肥大型心筋症の猫の33〜55%は初期症状が出ないといわています。

そのため肥大型心筋症の早期発見は難しいのです。

 

 肥大型心筋症の原因

肥大型心筋症には主に3つの原因があります。

  • 遺伝的な要因(メインクーン、ラグドールなど)
  • 特発性
  • 甲状腺機能亢進症や高血圧など

生後 4 か月から 16 歳までの幅広い年齢層の猫で診断されます。

 

 肥大型心筋症の症状

肥大型心筋症は徐々に進行する病気であるため、何年も診断されないことがよくあります。症状が現れると次のような行動を示すようになります。

  • 元気がない
  • 心拍数が早い
  • 心雑音がある
  • 安静時の呼吸数が1分間に40回以上になる
  • 咳、呼吸困難(口を開けて呼吸する)
  • 胸水が溜まる
  • 肺水腫(肺に水分が溜まる)
  • 失神
  • 大動脈血栓塞栓症により後脚が麻痺する
  • 突然死 

 

 肥大型心筋症の診断

肥大型心筋症と疑われる場合、次のような検査を行い、診断を行います。

  • 心臓と肺の胸部レントゲン撮影
  • 心臓の超音波エコー検査
  • 血液検査で心臓のバイオマーカー(BNP、トロポニンI、ANP)をチェックする
  • 心電図測定
  • 血圧測定

肥大型心筋症は、心臓の超音波エコー検査で左心室壁の肥厚と左心室の心室容積の減少を示します。ですが、甲状腺機能亢進症と高血圧も左心室の肥厚を引き起こすことがあるため、これらの疾患を血液検査などで除外する必要があります。胸部レントゲン撮影では、肺の状態を評価し、肺水腫や胸水貯留を確認します。心電図検査では、心拍数や不整脈の有無を調べます。

 肥大型心筋症の治療

治療方針は、肥大型心筋症のステージによって異なります。

ステージA:心筋症を発症するリスクのある猫
ステージB:左心房肥大が正常または軽度の不顕性猫(ステージB1;低リスク)

中・重度の左心房肥大を有する猫(ステージB2;高リスク)
ステージC:現在または過去にうっ血性心不全(CHF)または大動脈血栓塞栓症(ATE)の病歴がある猫
ステージD:CHFを発症し、内科的治療が効かなくなった猫

症状のない猫の治療 –症状がなく、合併症 (血栓症など) のリスクが低い場合、治療は必要ありません。ただし、半年ごとに動物病院で超音波エコー検査などの画像検査でチェックしてもらう必要があります。

症状のある猫 –肥大型心筋症の症状を引き起こしている場合、投薬を開始する必要があります。投薬により、心拍数のコントロール、うっ血の緩和、胸水の除去、および血栓塞栓症のリスクを減らすことが目的です。

ベトメディン(ピモベンダン):心臓の筋肉に作用し、心臓の収縮力を高めるとともに、強力な血管拡張作用があります。いわゆる強心薬です。

利尿剤(ラシックス、トラセミド):利尿薬は体の余分な水分やナトリウムを尿で排泄することによって、心臓のうっ血を改善し、心不全の症状を軽くします。特に肺水腫の際に必ず使用する薬です。ラシックスやトラセミドなど様々な利尿剤がありますが、効果時間などそれぞれ異なります。

抗凝固薬(クロプリドグレル、プラビックス):血栓症のリスクを軽減します。

 

 呼吸数について

もし肥大型心筋症であった場合、自宅で愛猫にできることの1つは、安静時呼吸数(睡眠中などの安静時にに毎分何回呼吸するか)をチェックすることです. 猫の安静時呼吸数は 1分間に30回以下ですが、30回よりも多い場合は、心臓に大きな負担がかかっている兆候かもしれません。

 

 肥大型心筋症の予後

臨床症状のない猫は何年も生きることができます。しかし、うっ血性心不全、血栓塞栓症、および低体温症などを引き起こした猫の予後は非常に悪いです。心不全を引き起こしたことのある猫の寿命は6〜18ヶ月といわれています。

 

 

 

【参考文献】

Fries RC, Kadotani S, Stack JP, Kruckman L, Wallace G. Prognostic Value of Neutrophil-to-Lymphocyte Ratio in Cats With Hypertrophic Cardiomyopathy. Front Vet Sci. 2022 Mar 14;9:813524. doi: 10.3389/fvets.2022.813524. PMID: 35359679; PMCID: PMC8964083.

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